幸水

しじみの砂抜き

塩分によりシジミの「うま味」成分増加Increase in "umami" component of season shellfish due to salinity

私達の実験の結果で淡水で飼育すると「うま味」が半減し、海水で飼育すると「うま味」が倍増することがはっきりわかりました。
水道水を満たした容器にシジミを入れて1時間おきにあらゆる成分の変化を調べてみました。うまみ成分の変化を下に示しました。
その中で特にうま味成分、コハク酸、アラニン、グルタミン酸、グリシンが急激に減少することがわかりました。
またその反対に海水容器にシジミを入れ同じように分析してみました。すると驚くことに「うま味」成分が急激に増加しました。
この原因は環境水の塩分が高濃度(浸透圧が大)のときは体内の浸透圧を環境水の浸透圧と同じにするためグリコーゲンなどを分解しアラニンを中心としたエキス成分などを増加させて、体内浸透圧を高くし環境水と同じ浸透圧に調節する生体内での適応反応を起こすためです。
したがって「うま味」を増やすために塩分を利用することが有効であることが判明しました。

シジミの砂抜き方法 - 水道水での砂抜きは駄目!How to remove sand from Shizimi - No sand removal with tap water!

食塩水で砂出しを行いましょう!

シジミは料理の前に必ず砂抜きを行いますが、家庭でも旅館や料理屋でも砂抜きに水道水(真水)を使用しています。また料理のテキストにも真水で砂抜きを行うように書いてあります。しかし表2で示したように真水につけられたシジミはせっかくの「うま味」を失ってしまうのです。
そこで、水道水のたれ流しはやめて、0.5%程度の食塩水(1リットルの水道水に約5グラムの食塩を入れる)を使用して砂出しを行って下さい。
6~12時間浸けることでアミノ酸が5倍近くまで増え、より美味しくできます。
シジミを美味しく食べたいと思う人は水道水での砂抜きを止めて食塩を加えた水で砂抜きを行いましょう。

広いザルなどを使用しましょう!

食塩水を使用するから、当然、止水状態で砂抜きをしなければなりません。止水で砂抜きをするときは、特に酸素欠乏とシジミの排出物アンモニアなどによる水質の悪化に充分気を付けなければなりません。
そのためには、必ずザルなど網目状の物に入れた後、シジミの殻の一部が水面すれすれになるようにすると、シジミは大気中から酸素を取り込むことができて酸欠になる心配は少なくなります。
また、そのザルは容器の底から離した状態にします。そうすると排出したものを再び取り込むことも無く、底に溜まった排出物による水質の悪影響を受けるのも比較的少なくなります。

シジミの保存方法How to preserve the shellfish

空中放置・緩慢冷凍で「うま味」が増す

ほとんどの食品は新鮮なものほど美味しくて、更に冷凍すると味が落ちるものですが私達の「うま味」成分の分析結果から、空中放置や緩慢冷凍することによって「うま味」は決して落ちることなく、むしろ「うま味」が増すことがわかりました。
ゆっくり冷凍することで細胞が少し壊れてしじみの旨味成分が増え、オルニチンが8倍に増えます。
冷蔵庫の中に水なしで乾かないように保存すると非常に美味しく食べることができます。また長期間であれば冷凍することをおすすめします。冷凍しても決して味は落ちません。
シジミを前述した方法で砂出しした後、1回に使用する量だけを小分けしてビニール袋に入れ、乾燥しないように輪ゴムなどで密封します。
一度試してみてください。とっても美味しくて便利です。